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1826年
J.S.ミル,「精神の危機」におそわれる。
この体験を機に、
従来のベンサム的功利主義を脱却しはじめ、
詩や芸術の重要性を認識する。


[・・・

 このように何か他のものを目標としているうちに,
 副産物的に幸福がえられるのだ。
 人生のいろいろな楽しみは,
 それを主要な目的とするのではなく
 通りすがりにそれを味わうときにはじめて,
 人生を楽しいものにしてくれる,
 というのが私の新しい理論だった。

 ・・・]~『ミル自伝』(第5章 1826~1832)











《 それは或本屋の二階だった。
  二十歳の彼は書棚にかけた西洋風の梯子に登り、
  新しい本を探していた。
  モオパスサン、ボオドレエル、ストリントベリイ、
  イプセン、ショウ、トルストイ、 ・・・・・

  ・・・ 》

  ~ 「或阿呆の一生 / 一 時代」 芥川龍之介











【 ・・・


  ●エリックの部屋

    車椅子のエリックと向かい合って
    籐椅子に坐るマリー。


  マリー 「何に決めた?」

    広げて伏せた本をマリーに渡すエリック。

  マリー 「『髪の毛』ね」

    マリーは足を組む。
    エリックの眼が一瞬、
    マリーの足の方に引きつけられる。
    エリックに微笑みかけてから
    朗読をはじめるマリー。


  マリー 「" ある晴れた朝、私はパリをふらついていた。
        すると、骨董屋の店先で、18世紀の
        寄木細工の書き物机を見つけた。
        たぐい稀な、何とも美しい机だった "」

    マリーは朗読を中断し、本を膝に置く。

  マリー 「難しい言葉があったら言って。
       " 寄木細工 " は分かる?」

  エリック 「ええ、分かります」

  マリー 「そう。(朗読を再開する)
       " 欲望とは何と不思議なものだろう!
        所有したいという欲求が私たちをとらえる。
        初めはおずおずと、内気な人のように。
        だが次第に欲求はふくらんでいき、
        激しく、抗い難いものになる "」

    エリックの視線は、
    マリーの短いスカートからのぞく
    腿に釘づけになる。


      〈・・・〉


    マリーはエリックを見る。
    彼は青ざめ、震えを抑えようと手を固く握りしめる。
    マリーは小さな叫びを洩らし、急いで立ち上がる。
    本が床に落ちる。
    ドアが開いて(* エリックの)母親が入って来る。


      〈・・・〉


  母親 「この子に何をしたの?」

  マリー 「朗読してただけよ!」


  ・・・ 】





  ◇






【 ・・・


  教授 「あの子は一晩中うわごとを言っていた」

    教授は机の方へやって来る。
    ガラス張りの机に、
    胸毛をかきむしる教授の姿が映る。

  教授 「ふさふさした髪の毛がどうのこうのと言って
      喘いでいた。
      君が読んでやった話ってのは何だ?」

    机のガラスに、
    屈み込んだマリーの姿も映る。

  マリー 「モーパッサンの短篇です。
       一番、古典的なものよ。」

  教授 「モーパッサンね ・・・・・・・・
      君、モーパッサンがどこで死んだか
      知ってるかね?」


  ・・・ 】




  ~ 『読書する女』 ミシェル・ドビル監督作品

    脚本 : ロザリンド・ドビル , ミシェル・ドビル
    (シナリオ・採録 : 石木まゆみ)













  Guy de Maupassant :

  フロベールに師事し、
  短編「脂肪の塊」で名声を博し、
  以来明晰な文体、
  みごとな人物・風景・心理描写で
  天才をうたわれたが、
  厭世と疲労で発狂し、短命に終わった。

  作品は多数の短編のほかに
  長編「女の一生」「ベラミ」など。

  (一八五〇~九三)


  †Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban
   (Revised edition) Shogakukan 1988












【久米仙人】 くめのせんにん


 伝説上の人物。

 大和国吉野郡の竜門寺にこもって
 空中飛行の術を学ぶが、
 吉野川の岸辺で洗濯している
 若い女の白い脛に見ほれ、
 神通力を失って墜落。
 その女を妻とし俗界に帰る。
 のち、高市郡遷都のとき、
 七日七夜修行、
 祈祷の末
 材木を空中に飛ばせて運んだ功によって
 免田三〇町を与えられ、
 その地に久米寺を建てたという。


  「今昔物語」
  「徒然草」
  「発心集」 などにみえる。





  ●






  【脛・臑】 すね

   膝から踝(くるぶし)までの間の部分。

   はぎ。


  【脛】 はぎ

   足の膝から下、
   踝(くるぶし)から上の部分の称。

   すね。



  「脛に挙ぐ(はぎにあぐ)」

   1.衣を脛(はぎ)の上までまくり上げる。

   2.胸のうちをあらわし示すことを、
     脛をあらわすのにかけていう。




   ~ Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban
     (Revised edition) Shogakukan 1988













  「いつしかとまたく心を脛にあげて
         天のかはらをけふや渡らん」


   ~[七月六日たなばたの心をよみける]
     藤原かねすけの朝臣(古今和歌集‐一〇一四)


     《彦星は織女星に早く会いたいと
      自分の心をすっかり脛にあらわに見せて
      今夜天の川を渡るだろうか》






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